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はじめに

なぜこの研修が必要なのか

⚠️ 他の法定研修より頻度が高い——年2回以上

感染症対策の研修・訓練は年2回以上の実施が義務です。虐待防止・身体拘束・BCPが年1回以上なのに対し、感染症だけ倍の頻度が求められています。対策委員会も概ね3ヶ月に1回以上の開催が必要です。

🏠 グループホームは感染が広がりやすい

集団生活で感染が広がりやすく、利用者さんは免疫が弱い方や症状を言葉で訴えにくい方も多くいます。「いつもと違う」という職員の気づきが早期発見の鍵になります。

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第1章

感染対策の3本柱

感染源の排除

手洗い・手指消毒の徹底。1回のケアに1回の手洗いが基本。

感染経路の遮断

マスク・手袋・エプロンの着用。持ち込まない・広げない・持ち出さない。

抵抗力の向上

規則正しい生活・十分な睡眠・バランスの良い食事で免疫力を維持。

🧼 手洗いのポイント

✅ 「手洗いに始まり、手洗いに終わる」

  • 時計・指輪を外してから洗う
  • 爪は短く切っておく
  • 指の間・爪の周り・親指など雑になりやすい部位を意識する
  • 手を完全に乾燥させる(濡れたままでは菌が残る)
  • 目に見える汚れがなければアルコール消毒(濃度60%以上)も有効

⚠️ 手袋をしていても手洗いは省略しない

手袋は万能ではありません。汚染した手袋のまま別のケアに移ったり、手袋を外した後に手洗いを省略することは感染拡大の原因になります。ケアのたびに手袋を替え、外した後は必ず手洗いを。

😷 標準予防策(すべての利用者に適用)

📋 標準予防策とは

「汗を除くすべての体液・血液・分泌物・傷のある皮膚・粘膜は感染性を持つ可能性がある」という前提で行う予防策です。感染症の有無に関わらず、すべての利用者へのケアに適用されます。

  • 排泄・入浴介助:手袋+マスク+エプロン
  • 嘔吐物・血液の処理:手袋+マスク+エプロン(ゴーグル推奨)
  • 傷の処置:手袋
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第2章

主な感染経路と対策

感染経路特徴原因の例現場での対策
空気感染 咳・くしゃみで空中に浮遊し遠くまで飛ぶ 結核・麻しん・水痘 N95マスク着用・換気の徹底・個室対応
飛沫感染 1m以内の飛沫で感染。床に落ちる インフルエンザ・風しん サージカルマスク・1m以上の距離確保
接触感染 手指・食品・器具を介する。最も頻度が高い ノロウイルス・MRSA・腸管出血性大腸菌 手洗い・手袋・器具の消毒・環境清掃

💡 グループホームで特に注意すべき感染症

  • ノロウイルス:嘔吐・下痢が突然始まる。嘔吐物の処理が不十分だと爆発的に広がる
  • インフルエンザ:高熱・全身倦怠感。利用者さんは重症化しやすいため早期対応が重要
  • 疥癬:ダニによる皮膚感染。かゆみが特徴。タオル・寝具の共用で広がる
  • 感染性胃腸炎:食事・水を介して集団発生しやすい
⚠️
第3章

障害のある方の感染症の特徴

⚠️ 症状が「いつもと違う」という形で現れることがある

障害のある方は感染症の症状が非特異的に出ることがあります。発熱だけでなく、以下のような変化が感染の初期サインになることがあります。普段から利用者さんをよく見ている職員だからこそ気づける変化を大切にしてください。

⚠️ 感染の初期サインになりうる変化

  • 食欲の低下・食事量の変化
  • 活動性の低下・ぐったりしている
  • いつもより転倒しやすい
  • 排泄の変化(下痢・失禁)
  • 意識がぼんやりしている・反応が鈍い
  • 顔色が悪い・呼吸が早い

🔵 観察・記録のポイント

  • 体温・脈拍・呼吸数を定期的に確認する
  • 「なんとなくいつもと違う」と感じたら記録する
  • 前回の食事量・水分量を記録しておく
  • 複数の利用者に似た症状が出たら集団発生の可能性
  • 気づいたことはすぐに管理者に報告する
🚨
第4章

感染症発生時の対応フロー

📋 発生時の基本フロー
異常に気づく
管理者に即報告
感染者の個室対応
保健所・医療機関に連絡
感染拡大防止策

🧤 嘔吐物・排泄物の処理手順

  • 手袋・マスク・エプロンを着用してから処理する
  • 嘔吐物は飛び散らないよう静かにペーパーで覆ってから拭き取る
  • 次亜塩素酸ナトリウム(500ppm)で消毒する
  • 処理後は使い捨て用品をビニール袋に密封して廃棄
  • 手袋を外した後は必ず手洗い

✅ ゾーニングの考え方

  • 感染者・濃厚接触者・その他の方のエリアを分ける
  • トイレ・食事の場所も可能な範囲で分ける
  • 感染者を担当する職員は可能な限り固定する
  • 汚染区域に入る際はPPEを着用し、出る際に外す
  • 換気を十分に行い、清潔区域を守る

✅ 消毒液の使い方

  • アルコール(60%以上):手指・物品の消毒。金属にも使用可
  • 次亜塩素酸ナトリウム(500ppm):環境・器具の消毒。嘔吐物処理後の床など
  • 次亜塩素酸ナトリウム(1000ppm):血液・嘔吐物が直接付着した場所
  • 次亜塩素酸ナトリウムで金属を消毒した後は、水で拭き取ること(金属腐食防止)
第5章

事業所として義務化されていること

1

対策委員会の開催

概ね3ヶ月に1回以上。結果を全職員に周知する。

2

指針の整備

感染症対策の指針を作成し職員に周知する。

3

研修・訓練

年2回以上。新規採用時も必須。

📋 備品の常備も義務

手指洗浄設備・使い捨て手袋・マスク・エプロン・消毒液など感染防止備品を常に一定量確保しておくことが求められています。在庫切れが起きないよう定期的な確認が必要です。

まとめ

今日の研修の要点

🤝 あなたへのお願い

「なんとなくいつもと違う」という気づきを大切にしてください。感染症は早期発見が被害を最小限に抑える最大の手段です。迷ったらすぐに管理者に相談しましょう。

出典:厚生労働省「障害者支援施設及び障害福祉サービス事業所等における感染症対策力向上支援業務 オンライン研修資料」(2020年12月)
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