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はじめに

なぜこの研修が必要なのか

⚠️ 令和4年度から義務化されました

身体拘束適正化に関する①検討委員会の開催、②指針の整備、③職員研修の実施、④記録の4項目が義務化されました。いずれか一つでも不備があると身体拘束廃止未実施減算の対象となります。

📋 身体拘束は「虐待」にあたる

「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」は障害者虐待防止法において身体的虐待に該当します(第2条第7項)。「安全のため」「本人のため」という理由があっても、原則として禁止です。

💡 制度の話より大切なこと

身体拘束の廃止は「リスクを我慢する」ことではありません。支援の質を高め、利用者の行動の背景を理解し、適切な環境調整を行うことが、結果として拘束をなくすことにつながります。

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第1章

身体拘束にあたる具体的な行為

🔴 重要なポイント

以下の行為はすべて身体拘束にあたります。「職員の都合」「介助のしやすさ」を理由にした拘束は、どんな形であっても認められません。

種類具体例
物理的拘束 車いす・ベッドへの縛り付け。ミトン型手袋の着用。つなぎ服(介護衣)の着用。
行動制限 職員の身体で利用者を押さえつける。自分で開けられない居室への隔離。
薬物による制御 行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に服用させる。
日常場面での拘束 「ちょっと待って」と言ったまま長時間放置する。必要な移動を制限する。
座位保持装置等の誤使用 治療・支援上の必要性なく、職員の都合でベルトやテーブルを使用する。

ℹ️ 座位保持装置等の適正な使用について

治療・支援上の必要性が認められ、個別支援計画に位置づけられている場合は身体拘束には該当しません。ただし必ず計画に明記し、本人・家族への説明と同意、定期的な見直しが必要です。

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第2章

やむを得ない場合の3要件と手続き

切迫性

利用者本人または他者の生命・身体に危険が切迫している

非代替性

複数職員で検討し、身体拘束以外に代替する方法がない

一時性

必要な最も短い時間にとどめる一時的なものである

⚠️ 「要件を満たせば行ってよい」ではない

実施した場合も、常に廃止・短縮へ向けた方策を検討し、定期的なモニタリングを行うことが求められます。記録がない場合は指定基準違反となります。

📝 やむを得ず実施する場合の手続き
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第3章

事例検討――身体拘束をやめた現場

「拘束しないと危ない」と思われていたケースでも、支援の工夫で解決できた事例が多くあります。「答えを見る」を押す前に自分なりに考えてみてください。

📌 事例1|夜間の転倒リスク
夜間にベッドから降りようとして転倒のリスクがあるため、ベッド柵で囲っていた。本人は夜中に何度も起き上がろうとする。
❓ 身体拘束をやめるためにどんな支援が考えられますか?

✅ 行動の背景を探ったことで解決

本人が夜間にトイレに行きたかったことがわかり、定時での声かけ・誘導に変更。ベッド柵での囲いを廃止し、転倒も減少した。

「なぜ起き上がろうとするのか」という背景に目を向けることが大切です。

📌 事例2|自傷・他傷行為
激しい自傷・他傷があるためミトン手袋を使用していた。外すとすぐに自分の顔を引っ掻いたり、職員を叩いてしまう。
❓ ミトン手袋に頼らない支援のアプローチを考えてみましょう。

✅ 行動の原因への対応で改善

行動の背景(伝えたいことが伝わらないストレス)をアセスメントで把握し、コミュニケーション支援と環境調整を実施。問題行動が減少し、拘束が不要になった。

「問題行動」は本人の意思表示。原因に対応することが根本解決になります。

📌 事例3|興奮・パニック時の対応
興奮状態になると暴れるため、複数の職員が身体を押さえることが常態化していた。押さえると余計に激しくなることもある。
❓ 身体介入に頼らないためにどんな対策が有効でしょうか?

✅ きっかけの把握と環境整備で改善

パニックのきっかけ(予定変更・感覚過負荷)を事前に把握し、クールダウンスペースの設置と予告の徹底で対応。パニックの頻度自体が減少し、身体介入が不要になった。

「なぜパニックになるのか」を分析することが最初の一歩です。

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第4章

行動障害のある利用者への適切な支援

💡 行動障害は「問題行動」ではない

強度行動障害のある方が虐待・拘束に遭いやすい背景には、職員の障害特性への理解不足・支援技術の未熟さがあります。「困った行動」に見えるものは、本人の「こうしたい」という意思がうまく伝わらないために起きるパニックです。

🔵 アセスメントのポイント

  • 行動の背景・理由を丁寧に把握する
  • いつ・どこで・何がきっかけで起きるか記録する
  • 本人の「伝えたいこと」を読み取る
  • 外部専門家のコンサルテーションを活用する

✅ 支援の工夫

  • 視覚化・構造化など本人に合った伝え方を使う
  • スケジュールの予告で見通しを持てるようにする
  • 感覚過負荷を避ける環境調整を行う
  • 服薬調整など医療との連携も視野に入れる

📚 強度行動障害支援者養成研修

強度行動障害のある方への専門的な支援技術を習得できる研修です。受講することで、身体拘束に頼らない支援の幅が広がります。積極的な受講をお勧めします。

第5章

事業所として義務化されていること

1

検討委員会の開催

年1回以上。結果を全職員に周知する。

2

指針の整備

身体拘束適正化のための指針を作成・周知する。

3

職員研修

年1回以上。新規採用時も必須。

⚠️ 記録の徹底も義務です

やむを得ず身体拘束を実施した場合は、①態様・時間 ②利用者の心身の状況 ③緊急やむを得ない理由を必ず記録してください。記録がない場合も指定基準違反として減算対象になります。

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第6章

やってはいけないこと

  • 記録を書き直す・削除する・隠す
  • 「不適切な支援だった」と言い換えて内部処理だけで終わらせる
  • 職員同士で「こういうことにしよう」と口裏を合わせる
  • 管理者に報告したにもかかわらず通報がされない場合に放置する
  • 立入調査に対して虚偽の答弁をする(30万円以下の罰金対象)
まとめ

今日の研修の要点

🤝 あなたへのお願い

「どうすれば拘束しなくて済むか」を常に考え、一人で抱え込まずに管理者や同僚に相談してください。支援の質を高めることが、拘束ゼロへの一番の近道です。

出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」令和2年3月版
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